基礎編!
欠陥住宅被害で一番多いのは、地盤の問題によるトラブルです。建物にとってその重さを支える地盤は「命」。地盤調査は必ず行うということを契約段階で業者に確認してください。もし予定に入れていなければ、必ず建物を建てる敷地で行うよう要求すること。また、建売住宅を購入する場合は、「地盤調査報告書」の提示を求めてください。
地盤調査では、必ず建物の四隅を測定!
地盤調査では、必ず建物の四隅と中心部の一ヵ所を測定したかどうかを確認しましょう。地盤調査が行われたら、ただちに「地盤調査報告書」を出してもらい、内容をチェックします。
「地盤調査報告書」の見るべきポイントは2つ。敷地内の測定位置を記した「調査地点位置図」では、測定数を確認。足りない場合は要注意です。もう1点は、地盤調査の有資格者(地盤検査技師)による見解が記載された「考察」。「考察」を見れば、地盤の状態、地盤改良が必要かどうかがわかります。
「部分改良」ではなく「全面改良」を!
地盤調査の結果、敷地の中で軟弱な部分があったら、強度にムラができるのを避けるため、そこだけ部分改良するのではなく、全面的に地盤改良するよう求めましょう。
布基礎とベタ基礎ではどちらが強い
地盤調査によって、確認された地質と地耐力をもとに、その敷地に適した基礎形状を選択します。
一戸建て住宅で一般的に採用されているのは「布基礎」と「ベタ基礎」と呼ばれるもの。
「布基礎工法」とは、建物の外周部分と壁の通る部分に連続してつくられる鉄筋コンクリートの基礎工事で逆T字型の断面をしており、横に広がった地中部分(フーチング)が建物の荷重を分散して地盤に伝える役割を果たしています。
「ベタ基礎工法」とは、建物下の地盤に接する部分全体を鉄筋コンクリートにし、かつ耐力壁の下に立ち上がりを設ける工法です。布基礎とベタ基礎ではどちらが強いかというと、ベタ基礎のほうが地耐力が低いところでも採用可能とされていますので、やはりベタ基礎のほうが安心だと言えるでしょう。
布基礎にしてもベタ基礎にしても、基礎工事の手順として途中までは同じです。
鉄筋コンクリートの「水セメント比」が55%以下かどうかを確認
基礎のコンクリートは、鉄筋コンクリート(RC)。つまり、建物の土台である基礎の強度は、鉄筋コンクリートの耐久性で決まるということです。鉄筋コンクリートの耐久性を判断するには、コンクリートの「水セメント比」が重要。爆裂やひび割れを防ぐために55%以下を基準にしましょう。
中性化を防ぐにはかぶり厚も重要
コンクリートの中性化の大きな要因は、大気中の二酸化炭素と言われています。コンクリート内の鉄筋への影響を遅らせるには、鉄筋の表面化から大気に接するまでのコンクリートの厚さである「かぶり厚」を厚くすればよいのです。かぶり厚は、法規では60mm。地面に接する部分のかぶり厚は、スペーサー設置で確保。基礎の立ち上がり部分のかぶり厚は、基礎幅150mmで確保するようにしましょう。
鉄筋の間隔、継手部分の補強、四隅の処理をチェック!
基礎のかぶり厚と同時に、張り巡らされた鉄筋が適切に組まれているかを現地で確認しましょう。
チェックポイントは大きく4つ。
1. 鉄筋の径(太さ)
2. 鉄筋と鉄筋の間隔
3. コーナー部分(四隅)の処理
4. 継手、定着部分の処理
アンカーボルトは、地震や台風などの際に土台が基礎からずれたり浮き上がったりすることがないようにしっかりと固定させる棒状の金物のこと。継手の位置は適切か、アンカーボルトはきちんと固定されているか、傾いていないかなど、施工不良がないかチェックしましょう。
アンカーボルトの設置が終わるとコンクリートを打設していきますが、その事前準備として「コンクリート配合計画書」を業者からもらっておきましょう。これらには、コンクリートの品質がわかるさまざまな情報が掲載されています。特に次の3点をチェックしましょう。
1. 出荷した生コン工場がJISの認定工場か?
2. 「呼び強度」と「スランプ」の数値は?
「呼び強度」とは、コンクリートの強さの指標。24N(ニュートン)以上が目安です。
「スランプ」とは、コンクリートのやわらかさ(水セメント比)の判断材料となるもの。目安は18cm以下。
コンクリートは時間が経つごとに乾いて固まる性質があります。コンクリートを調合してから打設までの適正時間は、目安として、気温25度以上なら1時間半以内、気温25度未満なら2時間以内が望ましいです。出荷時間は納品書に記載されていますので、打設完了時刻を記録しておけば逆算して確認することができます。
コンクリート打設が終わり、養成期間が過ぎると型枠をはずします。このときに、基礎コンクリートに、「ジャンカ」や「コールドジョイント」と呼ばれる現象がないか表面をよく確認してください。
「ジャンカ」は、材料がうまく混ざり合っていないことが原因で、砕石や砂利とコンクリート分離してしまう現象。程度によっては強度が落ちるので補強が必要です。「コールドジョイント」はコンクリートが一体化していないために起こる現象で、強度に問題があるため内部まで補修が必要です。
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