マンション内覧会編
内覧会は売主業者による「完成お披露目会」であり、オプション家具等を販売する場です。購入者の方にとっては、インテリアのイメージを具体的に膨らませたり寸法を測ったりと、ワクワク感が最も高まるタイミングです。
しかしながら内覧会には重要な意味がもう一つあります。「購入者による引渡前検査」であり、契約上、売主業者はこの内覧会をもって購入者の最終チェックが完了し、現状有姿で引き渡すことになるのです。つまり内覧会で指摘をしなかった、または気がつかなかった不具合が引渡し後に見つかったとしても、契約上は「法律に定められた瑕疵担保責任」を除いて売主業者に補修・修繕責任がありません。それゆえ引渡し後にトラブルにならないよう、購入者の厳しい目で建物をチェックすることが、結果として一般購入者、売主業者双方にとって信頼関係を構築することにつながります。
特にキズや汚れについては、補修を求めたとしても内覧会時点でそのようなキズや汚れが存在したかを証明する術がないため、細かすぎるくらい細かくチェックすることが重要となります。
内覧会の場で購入者がチェックするのは、大きく分けて以下の4点です。
1. 図面集との相違は無いか?
重要事項説明書添付図面(パンフレットなどの図面集)どおりの施工であるか、告知を受けていない変更がないかどうかを確認します。
2. 仕様の相違や変更はないか?
設備機器や建具などが、パンフレットやモデルルーム通りの仕様であるかどうかを確認します。
3. 基本性能等、機能に関する内容の確認
断熱や遮音状況、配水管の施工状況を確認します。
4. 仕上り状況の確認
キズや汚れがないか、建具などの動作は正常かなどを確認します。
【内覧会の流れ】
◆受付
業者から確認シートを受け取る
↓
◆専有部のチェック
1. 図面集との相違の有無
2. 仕様の相違や変更の有無
3.基本性能等機能に関する内容の確認
4.仕上がり状況の確認
↓
◆修正箇所のマーク/確認シートの記入
↓
◆修正箇所、修正方法の確認
↓
◆共用施設等の説明<ここまでが当日行われること>
↓
◆修正
↓
◆再内覧会
ここで修正されていなかったら再々内覧会を要求
内覧会の事前準備と必要な道具はこれだ!
内覧会に臨む前に必要な道具と、あると役立つ道具を準備しましょう。また、内覧会の日程が決まった段階で、売主に次のことをお願いしておいてください。
事前の準備(業者に依頼)
・すべての点検口の開放
・断熱材の厚さを測るピンの用意
・脚立の用意(自分で用意しても可)
・外壁に面するコンセント部分の断熱材が確認できるようにする
(コンセント本体をはずすことで対応可能。ボックスがある場合、ボックス下が見えるようにノックアウトを開ける)
【必要な道具】
必要な道具 | 自分で用意◇ 業者が容易◆ | 用途 |
---|---|---|
内覧会確認シート | ◇ | チェックを確実に行うため |
パンフレットや図面集 | ◇ | 仕様、チェック等を行うため |
モデルルームで撮った納まりの写真 | ◇ | 納まりがモデルルームと違っていないかをチェックするため |
鏡 | ◇ | 直接目視できない箇所を見るため |
小型懐中電灯 | ◇ | 点検口など暗いところをチェックするため |
水平器付スケール | ◇ | 配水管の勾配確認や寸法をチェックするため |
プラスとマイナスのドライバー | ◇ | ビスをはずす必要がある場合に使うため |
ウエットティッシュ | ◇ | キズなのか汚れなのかをふき取ってチェックするため |
筆記道具 | ◆ | 確認シートに書き込むため |
マスキングテープ | ◆ | 不具合のあった場所にしるしをつけるため |
簡易照明(電球型蛍光灯) | ◆ | 天気や方角により暗い部屋があるため |
脚立(アルミ製踏み台) | ◆ | 天井の点検口内をチェックするため |
事前にチェックしましょう。
内覧会チェックで不具合がひとつもないことはありません。内覧会では、専有部の不具合を発見したら、その場所にマスキングテープを貼るとともに、売主から渡されたチェックシートに記入します。内覧会チェックがすべて終了したあと、不具合があったところは指摘事項として施工者に伝えられ、修正が行われます。
修正がきちんと行われたかどうかをチェックする「再内覧会」も行われることが一般的です。もし、再内覧会でも修正されていなかったら、「再々内覧会」を要求します。不動産売買契約においては、売主は瑕疵のない建物を引き渡す義務があります。買主には何度でもチェックして修正を要求する権利があります。納得できるまで修正を要求しましょう。
【ポイント】なにをもって「瑕疵」と認められるのか
「瑕疵」とは、「目的物が契約に定められた内容や社会通念上必要とされる性能を欠いていること」と、平成12年に定められた品確法において、明確に規定されています。契約違反はもちろん、法律違反も瑕疵に該当します。